歯のホワイトニング
歯のホワイトニングで
成功するポイント
歯のホワイトニングで
成功するポイントは、
「お客様の見極め」、「診断力」、
「お客様への教育」です。
お客様の見極め
「お客様の見極め」については、
歯のホワイトニングの動機が、
黄ばみで悩まれている場合と、
自分の歯に対してある程度自信を持っていて、
歯を白くすることで
更にチャームポイントとして
引き立たせたいという欲求の場合があります。
悩み型来院の方には、
悩みに共感するカウンセリングが大切ですし、
欲求型来院の方には
お客様の歯の良い点を褒め、
明るく元気にカウンセリングすることが
ポイントです。
真逆の対応をすると
お客様のモチベーションは下がります。
悩み型が2割、
欲求型が8割の割合です。
診断力
「診断力」について、
ホワイトニングは他の歯科技術と比べると、
施術者によっての手技格差が出にくく、
その反面、術後結果の予想が
つきにくいという特徴があります。
お客様の歯の現在シェード色
(歯の色の明るさ)に対し、
お客様の歯の性質、生活習慣、
ご予算、通える頻度、目標期間などの5観点から、
「お客様が希望するシェード色に
達成するために、
オフィスホワイトニング
(歯科医院で行うホワイトニング)、
ホームホワイトニング
(歯科医院で専用のマウスピースを作り、家庭で行うホワイトニング)、
歯のクリーニングなどを
どの様に組み合わせてスケジュール化すれば、
最良の効果を得られるのか?」
という予測力こそが、
ホワイトニングの技術力と
いえるかもしれません。
その予測力は経験した
症例数に比例します。
ちなみに加齢とともに
漂白効果が出にくくなり、
喫煙者のほうが
白くなりにくい傾向にあります。
また歯科専門家の間では、
テトラサイクリン歯
(抗生物質の影響で生まれつき変色している歯)や
失活歯(神経の死んでいる歯)などの場合、
軽度はホワイトニングで改善できるものの、
重度は補綴(差し歯)でないと
不可能というのが定説です。
ただ、お客様の多くは
補綴よりもできるだけホワイトニングで
改善したいと思っており、
テトラサイクリンで
最も重篤な第4度であっても、
半年間デュアルホワイトニング
(オフィスとホームホワイトニングの組み合わせ)
を継続すると、
かなり目立たなくなります。
その状態は歯科医師にとって
理想的で無くとも、
多くのお客様にとっては感涙ものです。
お客様への教育
最後の「お客様への教育」ですが、
半数の方は歯のクリーニングと
歯のホワイトニングの違いをご存じありません。
歯の表面についた汚れや着色は
歯のクリーニングで落とせますが、
遺伝や加齢による変色は
ホワイトニングで漂白しないと
白くならないということを
お伝えする必要があります。
またお客様は、
一度で白くなるホワイトニングが
良いホワイトニングと
信じていらっしゃる場合があります。
そこで 「歯にダメージを与えず、
透明感のある美しい仕上がりのある
白い歯を手に入れるには
複数回繰り返すことが
良いホワイトニングである」ということを
お客様に納得して頂くことが大切です。
そのためにも 美容院やエステのように
「通うこと自体が幸せ!」と
思っていただけるような
癒される個室空間や接遇力が必要になってきます。
ホワイトニングの技術
ここで少しだけ
研究の結果によって判明した
ホワイトニングの有効性、安全性などについて、
基本原理とともにお伝えします。
漂白効果は過酸化物が
酸化反応するときの
ヒドロキシラジカル生成量の多さに
比例しており、
それは
「過酸化物の濃度×熱温度(或は光量)×phアルカリ度」で決まります。
オフィスホワイトニングでは
主に過酸化水素水がつかわれ、
濃度の高さに漂白効果は比例します。
濃度は過炭酸ナトリウムを混ぜることで、
高めることが出来ます。
しかし30%濃度以上で歯面に塗布すると、
激しい痛みが発生したり、
歯質に対して為害作用が生じやすくなります。
一方で濃度が10%未満になると、
熱温度(或は光量)やphアルカリ度などが
必要条件を満たしていても
漂白効果は期待できません。
なお、過酸化水素の酸化分解を促進するために
可視光応答型二酸化チタン光触媒を
用いることがありますが、
これまでの実験結果では
光触媒は歯の漂白効果に
ほとんど作用していません。
過酸化水素は熱温度が高いほど、
或いは光量が強いほど、
酸化分解が促進されます。
しかし熱温度が高いと
歯髄炎や疼痛への悪影響があり、
光量が強すぎると
口唇や歯茎が日焼けします。
口唇や歯茎へのプロテクトは
施術時間の延長を意味しコストに反映します。
市販の過酸化水素は、
弱酸性のPh値となっています。
そこで使用時にPh調整剤によって
アルカリ性に傾けると分解反応が促進されます。
しかしアルカリ度が高すぎると
歯に為害作用を及ぼすため
ph10未満の弱アルカリ性に
留めておくようにします。
ここまでのことから、
歯のホワイトニングにおいて、
過酸化物の濃度、熱温度、phを高めることによって
漂白効果を高めることは
比較的簡単なことです。
その代わり歯の健康や
快適性に対するリスクが増します。
漂白における有効性と
安全・快適性はトレードオフの関係にあります。
なお過酸化物以外のホワイトニング方法に
オゾンをつかったホワイトニングがありますが、
人体に対する危険性が高いため、
現在の技術では実用的ではありません。
またポリリン酸をつかったホワイトニングは、
あくまで着色除去作用に留まり、
過酸化物のような漂白効果はありません。