歯科衛生士の定着率を高める方法(前半)
「院長大事なお話があります」
ドキッとされましたか?
この言葉を急に言われると不安になります。
歯科業界では歯科衛生士の定着率が低く、
人材の確保にお悩みの先生も少なくないはずです。
折角採用した衛生士に少しでも
長く働いてもらうためにも
定着率アップを図りたい所ですが、
まず、定着率を高める対策を講じる前に、
なぜ離職率が高いのか、辞める理由とは何かの
原因について触れていきます。
歯科衛生士の勤務実態を知る
歯科衛生士の国家試験合格者数は
変わっていないにも関わらず、
一向に衛生士不足は改善されません。
働いている歯科衛生士の数は、
毎年2,500~4,500人程度増えていますが、
毎年平均して2000人近くの歯科衛生士が、
歯科衛生士として働くことを辞めている状態です。
その中でも、新卒衛生士の3か月以内に
退職する率は30%と言われています。
新人スタッフ(新卒だけでなく、中途採用も含みます)
の退職時期を調べたところ
実は退職していくスタッフの75%は
1ヶ月以内に退職しているという
統計が出ています。
このデータは当社調べではありますが、
本記事をお読みになっている先生も
大体このくらいの数字を
想定していたのではないでしょうか。
10年間同じ歯科医院で働き続ける
歯科衛生士の数は全体の5%にも満たず、
転職や退職をしたことがある歯科衛生士は
約65%にのぼり
その転職の平均回数は
1~3回だと言われています。
続いて勤務先の変更の理由の調査結果です。
衛生士は仕事感が一般社会人に比べて低く、
キャリア形成の概念や成長意欲が少ないと
言われていますが、
表4-1を見てみると、
「常勤」では「仕事内容のレベルアップのため」が
13.8%(前回 11.9%)が1番の理由となっており、
職場にやりがいを
求めていることが分かりました。
※平成27年3月公益社団法人日本歯科衛生士会 歯科衛生士の勤務実態調査 報告書より
しかし、衛生士の資質の問題以上に、
成長できる環境が整った歯科医院が少なく、
単調な仕事をこなす毎日で、
歯科医院という職場が歯科衛生士にとって、
魅力的に映っていないというのも現実です。
それでは具体的にどのような不満があり、
転職に至るのかを調査した結果をご覧ください。
【 職場への不満 】
□院長の診療方針についての説明が不足している
□院長は口では患者さん満足というが実際お金儲けにしか関心がない(保険の不正請求、インプラント主義)
□患者さんに詳しい説明無しに治療を始めてしまう。逆に院長の説明が長すぎで、治療が進まない
□気分によって態度が違う、叱りやすい人にだけ叱る
□アシスタント業務が多い
□仕事の範囲が不明確
□先輩スタッフからいじめられた
尚、上記の結果は
スタッフ側の口頭確認の内容を
記載しておりますので、
必ずしもこの内容が行われているとは限りません。
加えて、
『国家資格であり一生続けられる』
『転職・就職に困らない』という安心感から
歯科衛生士を目指したものの、
転職を繰り返し、
歯科業界から離れ一般企業に就職する
衛生士も現れ始めました。
今は一般企業でも求人倍率が右肩上がりで、
バブルの経済期の水準を超えたと言われるほど
求人倍率が上昇しております。
どこも人員不足で、
以前だとレベルが高くないと
採用してもらえなかった状況から一転し、
『求職者売り手市場』に変わったのです。
昔なら歯科医院でしか働けなかった
歯科衛生士でしたが、
歯科医院勤務よりも給与が高く、
土日に安定した休日が取れ、
福利厚生・待遇面が整った一般企業に流れて
働くようになったということです。
一般企業に流れているということは、
一般企業と肩を並べて受け入れ態勢を整えないと
ドンドン人は流出してしまうという事になります。
以下のグラフは、正社員を1人、
採用するコストの比較を表しており、
どの業種でも一人当たり
90万円~120万円のコストがかかっています。
本来は歯科医院もこのぐらいの金額を
1人当たりに投資した方が良いのですが、
最初からこの金額を投資できる医院は少数でしょう。
まずは、お金を投資する前に
衛生士の受け入れ態勢を整えることから始めます。
次回の記事では、
受け入れ態勢を整えて
優秀な人材が離職しにくくなる第一歩として
歯科衛生士の定着率アップの
ポイントをお伝えします。
オススメの動画を
ぜひご覧ください!
なぜスタッフの定着率が悪いのか?本質的な理由がわかります。
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