大型歯科医院の増加と課題
ある開業医の方から
次のようなコメントを頂きました。
「最近、近隣にメガ歯科医院が出来、
今後の歯科医院経営について悩んでおりました。
また40歳を過ぎ視力・体力の限界も感じており、
以前と同じペースでの診療に
ストレスを感じています」
大型医院と小規模医院の2極化
2008年に発行された
日本歯科医師会が編集する
歯科医療白書は衝撃的でした。
そこに掲載されていたのは
ユニット(治療用の椅子)8台以上の歯科医院の
年間増収率は7%に上り、
一方でユニット3台の標準的な歯科医院は
年間に4%ずつ減収しているという事実です。
大型医院と小規模医院の2極化が
進んでいるという話は
開業医にとって周知でしたが、
ここまで開きがあると考えていた方は
少なかったのではないでしょうか?
そして表3は、
年間売上1.5億円以上の医院が増収、
1億円でほぼ現状維持、
1億円未満は減収となっております。
ここで分かるのは 最低でも
1億円以上の売上がないと
年々減収になっていくということです。
特に5千万円未満は
前年比で3.2%減ですから、
この減少率で推移すると
5年後の売上は約2割ダウンになり、
院長収入を確保できなくなります。
しかし近年では
勝ち組であるはずの大型歯科医院も
苦労しているところが増えています。
それは人材の採用と教育の問題です。
沢山のユニット台数と
最新の医療機器を揃えても、
必要人員数を揃えられなかったり、
スタッフを戦力化することが出来ていない医院が
目立ってきています。
地方の歯科医院は、
特に大型化が進んでいます。
ところが地方は歯科医師や歯科衛生士等の
採用が都心よりも難しく、
沢山患者様が来ても対応できず、
予定していた売上を達成できないことによって
建築や設備機械の返済に
苦しんでいるケースも目立つようになってきました。
医院が大型化すればするほど、
医院を組織化するマネジメント技術が
必要になるのですが、
この業界ではマネジメントに対する意識や
実践度がかなり低いため、
人員不足と育成不足により
機会損失をしている傾向にあります。