ビジョンとは何か?
院長先生からよく次のようなコメントを頂きます。
- 歯科医師の仕事は天職だと思うが、ずっと同じ日々を送るのかと思うと気が滅入る。
- 日々の診療に対してマンネリ感があり、今後数十年間に渡り情熱を保つのは難しい。
- 毎日同じことの繰り返しが、一生続くのかと思う。開業時の高揚感が懐かしい。
このような感情が湧き上がる原因は、
ビジョンの喪失によるものです。
院長に依存しない組織をつくっていく上で
最も大切なのがビジョンです。
ビジョンとは組織が目指す将来の姿
歯科医院には昔から
診療方針というものがあります。
最近ではコンセプト(概念)と
呼んでいる歯科医院も増えていますが、
「できるだけ痛みがない治療を心がけています」、
「インフォームドコンセントを大事にしています」、
「予防に力を入れています」、
「最新の医療技術を導入しています」、
「滅菌設備が充実しています」
などが明文化されています。
診療方針は患者様に対して、
どのような治療や接遇を心がけるのかという
あくまで診療やそこに
付随するものであるのに対し、
ビジョンは組織が目指す将来の姿を、
社員、顧客、そして社会に示したものです。
これからの歯科医院経営では、
診療方針だけでなく、ビジョンが大切です。
似たような言葉に、
理念、ミッション、バリューなどがあり、
それぞれ異なった意味を持ちますが、
ここで経営講義を
展開したいわけではありませんので、
ビジョンという言葉に集約して先に進めます。
良いビジョンとは
院長が叶えたい未来像であり、
それがクライアントやスタッフから
応援してもらえるようなものです。
つまり院長が本心からやりたいことが、
クライアントとスタッフに共感されることと
一致していれば素晴らしいビジョンになります。
自分の心に正直になったとき、
どうしてもビジョンが浮かばない
というのであれば、
スタッフとのコミュニケーションを
改善することが先決になります。
ビジョンは一人で
達成できるものではないからです。
一方でビジョンをしっかり構築できると、
スタッフとのコミュニケーションもより円滑になり、
院長の想いがスタッフに届きやすくなります。
ビジョンは儲けるための道具ではない
そもそも経営者は
ビジョンを浸透させたいと思っていますが、
ビジョンに浸透されたいと
願っている従業員はいません。
言葉として素晴らしいビジョンが存在しても、
院長がビジョンに沿った行動を
していない場合は、
逆にスタッフからの失望を買います。
例えば患者さん第一主義といいながら、
売上重視の経営姿勢。
社会貢献と言いながら
保険の不正請求をしている場合。
スタッフ満足度を高めるといいながら
労基法違反でスタッフは安月給。
予防歯科を目指すといいながら
患者様の大部分が高齢者で保険中心など。
ビジョンは儲けるための
道具やスタッフを操縦するための
美辞麗句ではありません。
組織の存在は
経営者を儲けさせるためにあるのではなく、
ビジョンを実現するためにあります。
「個人医院だから私のものだろう」と
考える方もいらっしゃるかもしれませんが、
そういう意識がある限り、
「院長一人で頑張って、私たちは楽をしますから」
という意識がスタッフに蔓延することになります。
自分が従業員の時は
上司や経営者のセコさや不正に対して
軽蔑する正義感があったのに、
経営者になったとたん
組織を存続させることの大変さが
身に染みて分かり、
恐怖し、善悪よりも損得を判断基準に
置きがちになります。
ビジョンがないと
院長は目先の売上に一喜一憂したり、
自分の欲望のままに意思決定したり、
小手先のすぐに結果が出るノウハウに飛びつき、
やがて心が蝕まれていきます。
経済が右肩上がりの時代は、
ビジョンが無くても経営ができました。
人々にとってのビジョンは
自分たちの生活向上であり、
家電、車、ファッションなど、モノを手に入れることでした。
しかし誰もが
TV、携帯電話、車、ブランド品などを
持てるようになり、
モノが溢れた現代において、
モノやお金だけで人を
動機づけることは出来ません。
オススメの動画を
ぜひご覧ください!
患者さん、スタッフから共感されるビジョンのつくりかた!3つのステップ
↓クリックで再生ページに移動します↓
※シカウェルに無料登録していただくことで視聴出来ます。